ぱっしょんリーダーに聞け! 


  



  


 地元の人間にとっては、石垣島の食は日常ですので、若い頃は意識することはありませんでした。その魅力に気付かされたのは、私の転機となった時期と重なります。東京のツーリズム系専門学校を卒業し、旅行会社に勤務。帰郷後は、地元のホテルに勤務していましたが、退社が決まり、さて次の目標は?という時、家内の母が作ってくれた八重山そばのおいしさが染みまして、「そうだ、このおいしさを広めよう」と考えました。スタートは、リゾートホテル内で屋台による出店でした。そのうち、「泡盛飲むから、チャンプルーないの?」など、他の料理のリクエストがくるようになりました。家内の母は若い頃から、石垣島でも指折りのそば専門店で働いていたこともあり、料理が好きなので、色々と教えてもらいました。これを皮切りに次第に軌道に乗り、やがて石垣島の繁華街で路面店を持つことになったのです。規模が大きくなることによって、味を落としたくない、これにはかなり、こだわりました。例えばスープですが、ガスで加熱した場合、小さな鍋と大きな鍋では火の通り具合が全く異なるんですね。大きな鍋は下部に火が集中してしまい、スープの味が決まらないんです。そこで、おいしいと評判の北九州のラーメン専門店に出向き、全体に均等に火が通る手法を学びました。基本の味は家内の母のおふくろの味、これを家族サイズの分量ではなく、味はそのまま業務用に変換するにはどのようにするか、その手法に辿り着くまで東奔西走しました。麺は、たまたま小学校の同級生が、永年勤めた沖縄本島の製粉会社を退職し、石垣島に戻ってくることがわかり、拝み倒して入社してもらいました。また、八重山そばの薬味といえば、ぴぱーつという独特の香辛料です。これに島胡椒の漢字をあて、店名にしました。象徴でもあるぴぱーつにはこだわりました。香りを大切にしたいために、家の近所や知り合いの庭にあるぴぱーつの摘み立てを手に入れ、天火干しにし、すり鉢であたってていねいに作っています。  昔ながらの味をあまり知らない若い層への集客をはかるため、店舗デザインは、シンプルながらもしゃれたイメージとしました。これによって、若い層の集客に成功。さらに、その家族である、父親母親層、祖父母層など、家族で来店くださるようになりました。息子、娘に手をひかれていらした年輩のお客様から「昔のなつかしい味がする、いい匂い」という言葉をいただいた時は、うれしかったですね。このような地元の方のお席の傍らには、観光客の方や移住者の方が八重山の味を楽しんでいらっしゃいます。これは、理想的な光景です。



 叶う叶わないは別として、私の最終目標は世界進出です。随分大きく出たなと思われるかもしれませんが、目標は大きな方がいいでしょう?(笑)いずれは東京、さらには日本国内を視野に入れていますが、その足掛かりが今、沖縄で一番元気なエリアである那覇新都心なのです。沖縄そばファンは、皆さんそれぞれお好みがあり、多くの味覚がありますが、その中でも、八重山そばは、スープはあっさり薄味ながらも深みがあり、細麺で食べやすいという特徴があります。石垣本店で、地元客と観光客そして移住者にも受け入れられていることから、官公庁や事業所が多く、居住者には移住者が多い那覇新都心を選択しました。開店から1ケ月余り、八重山そばそして、立地特性を考慮して石垣牛料理や身体に優しい野菜中心のロハスランチをメニューの中心としていますが、現在、お客様は近隣のOLさんや奥様のグループが中心となっています。これも予想通りで、次第に各層へのシャワー効果が見込めると考えています。またぜひ、沖縄本島在住の石垣出身者の皆さんに故郷の香りを楽しんでいただけたらと思います。



 現在、食の安全が問題が大きくクローズアップされていますが、私達は、石垣島の風土に育まれた天然素材にこだわり、八重山エリアの食の素晴らしさを県内外、いずれは海外へ広めていきたいと考えています。拠点は石垣、これは譲れません。石垣島の海水をにがりにして作る島豆腐、地元野菜である長命草でつくる麺など、石垣島の風土の下、自社工場で製造するからこそ、本物の石垣島の味が出せるのだと確信しています。  沖縄はその自然環境にひかれて、県外からの移住者がまだまだ続いていますが、その魅力を携えて、外へ外へと発信しなければならないと考えています。今、世界は日本食ブームにあり、これはもはや定番化しつつあります。沖縄料理の中のひとつに過ぎない石垣島の美味も必ずや、世界の食通にうなずいていただけるのではないかと私は考えています。これは、3年前、ラスベガスを旅した時に、一流のショッピング街にジャパニーズフードが非常に多かったことに驚くとともに、日本の文化に誇りを持ったことも一因となっています。  近々には、東京に本社のある大手商社を通して、弊社商品が通販されることになりました。商社の方が、石垣本店に家族旅行でいらした際に、たまたまご来店いただき、召し上がっていただいた後の商談で、これはうれしかったですね。  国内外への進出、それには多くの課題があり、越えなければならないハードルは低くはないと思いますが、ひとつひとつ段階をふみながら、気概を持って進んでいきたいと思います。こうして、大きな夢を持てるようになったのも、家内の母をはじめとする周囲の支えがあるからこそ…。感謝の気持ちを忘れず、故郷石垣島の食の心を発信して参ります。

 
  
 
  








  

◎取材を終えて…
 作ってしまっては自己満足になってしまうという理由から、現在、調理に関してはすべてまかせて、自らは経営者に徹しているという西原社長。常にお客様の立場に立って、厳しく味に対峙するため、酒、煙草もやめられたそうです。世界の食通が、ぴぱーつの香りに魅せられる光景、楽しみです。

 
●パーソナルデータ●
  

出身地/石垣市
趣味/スポーツ
好きな言葉/気概・温故知新

  
  
●オーガニゼーションデータ●
  1998/屋台居酒屋 あーまんスタート
2007/石垣ダイニング 島胡椒スタート
   
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