
 はい、今年の4月28日に開館しまして、浦添市民をはじめ多くの皆さんに来館していただきありがたいことです。浦添市てだこホールは、てだこ広場、浦添市美術館、浦添市立図書館など文化関連施設が集中する浦添カルチャーパークの一角にあります。
大ホールは通常時の客席数が1001席。舞台芸術の公演・上演機能を高度に備えており、内外の一流の演劇やコンサートから市民による舞台芸術の公演・上演及び講演会などが開催できるようになっています。バリアフリー機能や親子席、難聴者の方のためのイヤホンも用意して幅広い層の皆様へ芸術を楽しんでいただこうと考えています。平成20年には小ホールも供用開始されますが、ここでは高校生バンドなどとくに若い世代に使っていただけたらと考えています。浦添市は若い世代の育成に力を入れており、太陽樹(てぃだーじゅ)という組織を立ち上げ、合唱、琉舞、演劇、太鼓など、多分野にわたってバックアップしています。指導者の先生、父母の皆さんも大変熱心で、未来の芸術家の卵たちが育っています。この夏からは、生涯学習棟の供用が開始されます。マルチメディア学習室は、情報メディアを活用し、能力に応じた学習を行います。多目的室は、市民交流・市民活動のためのスペース、市民サロンは市民交流や待合ロビーとなっています。市民交流室は、仮設ステージがあり、演劇などのワークショップや、生涯学習で身につけた技術の発表や展示などにご使用いただけます。練習室は、公演前の稽古場としてご利用いただいている他、音楽や舞踊の練習場としてもお使いいただいています。

私は那覇市久茂地で育ちまして、小さいころから歌うことが大好きで、小学生の時には、家が近かったということもありまして、妹といっしょに琉球放送児童合唱団に入りました。そして、自然と声楽家の道をめざすようになりまして、大学で声楽を学ぶようになりました。当時は欧米の文化に憧れるご時世で、私もその中の1人でした。しかし、ハワイ大学で学んでいる時、課程の中に沖縄の音楽があり琉球舞踊も1単位として数えられており、三味線のコースもありました。外国人から沖縄の音楽がすばらしいと言われてもお世辞かと思っていた私に、この事実はカルチャーショックに近いものがありました。それから次第に沖縄の文化にひかれるようになり、民族音楽のひとつとして研究をスタートさせました。帰沖後は、大学で教鞭を取りながら研究の日々を送っていました。村々をフィールドワークでお訪ねする度、沖縄は音楽と踊りの島であり、その奥深さに感嘆しておりました。そんな折、沖縄コンベンションセンターからお声がかかりまして、館長職に就くことになったのです。それまでの学究の道とは異なりましたが、私の持っている民族音楽やハワイで培った観光の知識がお役に立てればと考え、お引き受けしました。それを全うし、さて、そろそろ研究の道へ戻ろうとしていた矢先に、浦添市からお声がかかりまして、てだこホールの館長職をお引き受けすることになりました。
今回はスタート時から関わることになりましたので、大変と言えば大変ですが、やりがいはとても大きいですね。
 近々には、来月7月1日に宮古島が生んだ偉大な音楽家、金井喜久子先生の生誕百年を記念したコンサートを開催します。金井喜久子先生は、日本の洋楽史の中で初めて交響曲を作曲した女性作曲家です。国内よりも海外での評価が高く、世界中がお墨付きを与えています。ぜひ、多くの皆さんに聴いていただきたいと思います。私はなぜか宮古島とご縁がありまして、宮古島のある役場から依頼を受け昨年は約3週間滞在し、民族音楽の調査を行いました。
8月にはアメリカ在住のヴァイオリニスト五嶋龍さんと県立芸大カンマー・ゾリステン21との共演を開催します。五嶋龍さんは幼い時から空手を習っており、空手の聖地である沖縄には思い入れがあるようで、前にも一度来沖していますが、今回も大変楽しみにしていらっしゃるようです。
来年1月には、子供達たちによる「わらべ歌まつり」を開催する予定です。これは、私の専門分野である民族音楽の世界ですが、今では日常で歌われることの少なくなった沖縄の音楽の素晴らしさをとくに小さな子供たちに伝えることができたらと考えています。小さい頃、記憶したわらべ歌はなかなか忘れないものです。大人である私たちが、わらべ歌に触れ合う機会を作ってあげなければならないのではないでしょうか。
いいものを老若男女を問わず、舞台に立つ皆さんも観る側もみんなで感動できる…、そんな仕事ができるように努めて参りたいと考えます。
 バブル経済崩壊後、芸術を取り巻く状況は厳しいものがありますが、芸術はいつの時代も夢を与えるものです。このような時代だからこそ、私たちは、皆さんの暮らしの中に少しでも夢をもたらすような芸術をお届けしなければならないと考えます。音楽の島である沖縄浦添から沖縄を発信しながら、世界の芸術を沖縄の皆さんに紹介する…。皆さんがてだこホールでご覧になった舞台をきっかけに芸術を楽しんでいくきっかけづくりができたらいいですね。また、私の専門分野である民族音楽の保存・啓蒙にも努め、次世代に引き継いでいきたいと思います。
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