ぱっしょんリーダーに聞け! 


  



  


 実は大学卒業後、飲料メーカーに勤務し、順調に昇進もしていました。しかし、会社という組織の中でこのまま人生が進んでいくことに疑問を持つようになっていったのです。せっかく生まれてきたからには自分の責任で何かをやってみたいと考えるようになりました。そこで、自分が好きなことは何だろう?と考えたところ、食べることが大好きで、学生時代も食堂やレストランなどでアルバイトをしており、幼い頃から食に興味があったということに行き着いたのです。安定した人生をなぜ?という両親の猛反対にもあいましたが、もう自分の気持ちを止めることはできませんでした。就職してから5年目に退職、その後は、大阪、神戸そして沖縄のレストランでアルバイトをしていましたが、本格的に料理を学ぶためには本場で修業することが一番だと考え、妻と二人、ワーキングホリデー制度でフランスに行くことにしました。これが一昨年のことです。前半をパリのビストロで、後半は、ラッキーなことにひょんなことからなかなか働けないシャンパーニュ地方の二ツ星レストランで働きました。この間に、伝統派と先鋭的な料理を学べることができました。私は料理を、妻はお菓子を学びました。フランスにいて学んだことは、地の素材に寄り添うということです。素材の味をいかに引き立てるかを本場で知ったことは大きかったと思います。



 大学の卒業旅行で1995年に初めて訪れてから、4年後には離島中心にまわりました。沖縄の自然の中で暮らすのもいいなという気持ちになり、退職後、2003年に沖縄に移住。昨年、フランスから帰国して、さて、どこに出店しようかと考えた時のことです。本土や外国には市場の近くに新鮮な食材を使ったレストランや食堂がたくさんあり、沖縄を旅行した時、そんな店があったらいいなと思ったことに気がついたのです。沖縄食材をフレンチの手法で作ったら面白いのではと思ったんですね。沖縄の食材は、フランスと似ています。肉類は味が濃く、野菜は力強いんですね。例えばピーマンですが、本土のピーマンは皮が薄いのですが、沖縄とフランスのピーマンは肉厚でゴツゴツしていて、味も濃く、元気があるんですね。他の野菜も同様、ですからシンプルな調理法で充分おいしい料理になるんです。肉や魚は公設市場で手に入れていますが、呼び名も違いますし、豚肉に関しては部位も独特で豊富です。料理人としては大変興味深いものがありますが、なにしろ大阪出身なものでわからないことも多く、戸惑いもありましたが、市場の肉屋さんや魚屋さんに特徴や沖縄料理に使う料理方法を教えていただき、フランス料理に置き換えるヒントにしています。そうして生まれた料理が、「石垣牛スジ肉の赤ワイン煮込み」や「やんばる鶏の砂肝とくるみペリゴール風」などです。今年は、沖縄の夏にも、旬があることを学びました。スターフルーツ、マンゴー、ドラゴンフルーツなど次々に登場する果物が変わるんですね。来年は夏の旬のフルーツを活かしたソースを作ってみたいなと今から考えています。これに気がついたのも市場に店があるからだと思います。食卓にのぼるいわゆる沖縄料理の食材を異なるスタイルで楽しむ、これは私自身も楽しいですが、お客様にもお陰様で喜んでいただいております。市場という場所柄、ランチタイムには買い物途中の主婦の皆さんや市場で働く方にも来店していただき、次第にリピーターの方も増えています。「面白いね」、「こんな使い方があるんだね」などという声を聞くとうれしいですね。



 現在、月1回ペースで「すーじぐわー倶楽部」というワイン会を開催しています。当初軽い気持ちでスタートしたのですが、お陰様で好評を得ております。ワインそのものとそれに合う沖縄食材の発見さらには、沖縄ではあまり感じられない四季の食も楽しんでいただこうと、この秋は「やんばる鶏のソテー栗のソース」というメニューも考えました。反対していた両親も今は応援してくれ、定年退職した父は大阪から自家菜園で作った野菜を送ってくれますので、これから四季のメニューが生まれるかもしれません。  今後も街場のフレンチの店として、沖縄の皆さんに気軽にフレンチとワインを楽しんでいただけるよう努めていきたいと考えます。また、旅行で沖縄を訪れた皆さんに市場を散策しながら、ワインと沖縄食材のフレンチを楽しんでいただき、沖縄の方と旅行で訪れた方がいっしょに楽しめる場となるといいなと思います。  開店前の工事中の頃、市場の皆さんから「大丈夫?」「やっていける?」というご心配の声をいただいたことがきっかけで、今も親しくさせていただいています。「ご近所づきあいが楽しい」と妻も楽しそうに仕事をしています。スタートしてまだ半年、パティシエである妻と2人の小さな店ですが、新しい解釈で沖縄の食をとらえながら、一歩ずつ私達なりに頑張って、少しでも市場を盛り上げられるようお役に立てたらと考えています。



 

 
  
 
  








  

◎取材を終えて…
 聞けば誰もが知っている有名飲料メーカーを退職してまでも、自分の心の声に正直に答えた新屋さん。毎週月・木を定休日としているのは、すべて手作りとしているため、仕込みに当てているからというこだわり派。これから沖縄のさまざまな食に新屋さんが出会いそして生まれる料理に期待しましょう。

 
●パーソナルデータ●
  

出身地/大阪府
好きな言葉/誠心誠意
趣味/ワインを飲むこと

  
  
●オーガニゼーションデータ●
  2005/フランスにて修業
2007/petite rueスタート
   
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