
東京の大学を卒業後、東京で映像関係の仕事をした後沖縄に戻り、以来、同じく映像の仕事をしていました。映画に関しては、まあ子どもの頃からごく普通に好きだという感じだったと思います。でも、いつか映画を作りたいという漠然としたイメージはありましたし、コマーシャル撮影時、打ち上げの席などで「いつか映画作りたいな」という話はしていましたが、酒の席での話しでしたし、そう真剣に話していたというほどではありませんでしたが…。まあ、よくある話しです(笑)。映像の仕事をしているのだから、近い距離にあったと思われがちですが、依頼主があって商品の販売促進やイメージアップなどにつなげるいわゆる商業ベースの仕事と一からすべてを作り上げて行く映画製作は、似ていて非なるものなんです。
当初、会社設立当時チラッと頭をかすめたことはありましたが、機が熟すまで待とうと思いました。というのもコマーシャルの世界でわかったことですが、映像製作の現場は、人同士が作り上げているんですね。この人と人との繋がりが大切であることを痛感していました。こうして10数年かけて築き上げた人間関係がベースとなって、琉球カウボーイフィルムスが生まれたんです。でも、とっかかりは笑ってしまうほど、淡々としていて、いつもの仕事仲間になんとなく電話をして「映画やろうと思うんだけど」と話すと、みんながみんな乗ってきてくれたんです。まずはスポンサーを探すという方法もありますが、その前に一人称である製作者自身で出資する方法を選びました。いい作品を作ってしかも商業ベースにきちんと乗るように、脚本を練り上げるように、売っていくシステムも考え、各々が潤うことを目的としています。

すべてが沖縄であることです。テーマが沖縄であり、出演者も沖縄、撮影地が沖縄、編集作業も沖縄、スタッフも全員が沖縄を拠点に仕事をしているということ。これまでにも、この方法はあったかと思いますが、世代が少し上で、最近はなかったんですね。また、このところは、県外のフィルターを通した沖縄の伝え方が多かったと思います。地元ならではの沖縄を映画によって表現することが求められていたのかもしれません。琉球カウボーイフィルムスが考える沖縄とはこれだというプレゼンテーションを行い、地元沖縄はもちろん県外、海外へ向けても発信していこうというものなんです。沖縄で日々生活しているウチナーンチュの僕達が、よく見えている足下の沖縄をすくい取ってストーリーとして映画にする…。そこで、注意しなければならないことは寄り過ぎてはいけないということ。題材は足下にあるが、それをグっと引いて俯瞰で見る力を持つことなんですね。そこから普遍性のある共感が生まれるのではないでしょうか。
名所や旧跡ではなく、路地を曲がったらそこにある何でもない風景や、自然体の人々に沖縄を感じていただければと思います。僕自身、ロケハンで監督に案内された場所に感動しました。
 いやほんとに色々なことがありました。脚本の練り直しは何度やったかわかりません。監督とのディスカッションを重ねる中、厳しい局面も多々ありました。しかし、10数年の間に構築してきた人間関係や沖縄に対する基本的な視点が同じということで、これも建設的に進んでいきました。
沖縄の代表的な行事である清明祭(シーミー)をテーマとした「SeeMe?」の撮影の際には、100人以上のエキストラが必要だったのですが、撮影当日雨が降ってしまいあえなく中止。すべて再度やり直しになってしまったこともありました。すべての作業が終了した今となってみれば、まあ、大変でしたけど、いい思い出といったところですね。
現在、プロデュース活動で東京などをまわっていますが、僕も映画のプロデュースは初めてなので、わからないこともたくさんありますが、作品のよさに後押しされて、くじけそうな時も頑張っています。
琉球カウボーイフィルムスは、すべて「沖縄」でできているので、工業連合会に県産品として認めてもらい、県産品マークをいただけたらと思い、打診したところ快くOKのご返事をいただきました。形ないものの認定は今回初ということで、大変ありがたく思っています。今年の産業まつりのオープニングに県産品認定証をいただけることになっています。

はい、いいものができたと思いますので、後はいかに売り出していくかということですね。おかげさまで「マサーおじいの傘」が、「韓国プチョン国際ファンタスティック映画祭」に正式招待され、「Happy☆Pizza」は「ジョージア州ローマ国際映画祭短編部門」に正式出品し海外最優秀作品賞を受賞しました。さらに和歌山県の「田辺弁慶映画祭」にも出品。ここでは、専門家ではなく、市民審査員による審査で一番人気をいただき、市民審査賞をいただきました。これはうれしかったですね。とくに沖縄ファンではない方達の支持をいただいたことは、今後のプロモーションに大きな力を得ることとなりました。いよいよ来週の土曜日10月27日から桜坂劇場を皮きりに、順次、沖縄市、糸満市、石垣市、県外では東京テアトル新宿にて上映します。やるべきことはやったので、後は世に問い、皆様の反応を真摯に受け止め、さらに今後につなげていこうと思います。

琉球カウボーイフィルムスは、立ち上げたからには2回、3回と続けていくことに意義があると思います。2回目は、どのように売っていくかを広く多くの方々を集めて考えていきたいと思います。また、映像に関わることの喜びを後進に伝えていくことも僕達世代の役目だと思います。上の世代からもらった知識や思いを繋いでいかなければならないのですが、なかなかなり手がいない状況にあります。そこで、今回の映画が次世代を刺激することに少しでも役立てればとも思っています。
世界には、フランス、インド、イラン、ベトナムなど、その国独特の空気感を醸し出す映画が存在し、各々のそのポジションを確立し、世界中で上映されています。夢は大きく、その中に、「琉球」というカテゴリーが仲間入りし、「琉球映画」という新しい価値観を生み出して行ければと思います。
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