ぱっしょんリーダーに聞け! 


  



  


 私は長年建設業を生業としてきましたが、約10年程前から、いつか建設業界は頭打ちになると予測し、新事業への進出を模索していました。そんな折り、沖縄県内において「全国ヤギサミット」が開催されまして、講演を聞きに行ったんです。そこで学んだのは、山羊乳が昔から貴重なタンパク源として飲まれており、その優位性が広く知られていることを再認識したのです。そこで、沖縄には古くから山羊そのものを食べる文化があり、これは乳製品へとつながる可能性があるのではないかと考え始めたんです。



 山羊乳の優位性としましては、第1にその脂肪球が牛の6分の1から15分の1程度と小さいことから消化吸収に非常に優れており、高齢者、乳幼児の栄養補給食品として高い機能性を有しています。第2に牛乳アレルギーの原因物質の一部が含まれていないため、一部の牛乳アレルギーの方に代替乳として広く活用できるポテンシャルは高いといえます。第3には乳糖含有量が低いことから、乳糖消化酵素を持たない、犬、猫の哺乳用ミルクとしての利用が確立されています。現在、中国産、ニュージーランド産を中心に粉末山羊乳が推定50トン程度輸入されています。ペット業界の成長と富裕層を中心とした高級ペットフード人気によりその市場は拡大傾向にあります。第4は機能性脂質の存在です。ダイエット効果やガン予防効果、骨粗鬆症予防効果、動脈硬化予防効果があるとされる共役リノール酸や、体内ですばやく燃焼される中鎖脂肪酸(MCF A)が含まれており、超高齢化社会を迎え、健康に関心が高まる中、期待が集まるところです。



 沖縄は、全国の半数以上の山羊が飼育されていて、国内最大の山羊飼育地帯なんです。その多くは食肉用となっています。沖縄観光の拡大に伴って肉用山羊の需要が高まっていますが、全国の酪農経営者にとって、雄の家畜の売却が重要な問題。沖縄では雄山羊が食肉用として高値で売買されており、その売却が容易であるという状況にあるため、今後、山羊乳を原材料とする商品の開発が進み、山羊の保有が増えた時のことを考えますと、元々、山羊を食肉とする素地があることは大変有利であると考えます。また、山羊は大変人懐っこくとくに赤ちゃんは非常に愛くるしいことから、観光牧場としての可能性も秘めていると思います。



 スタートから来年で10年目を迎えますが、地道ながら実績を重ねてきました。現在、中城村の牧場において畜舎1棟500Fに、アルパイン種、ヌビアン種、ザーネン種、トッケンブルク種など、120種の山羊を飼育しています。食に関する展開商品としましては、ナチュラルチーズ・ピンザブラン、やぎみるく、飲むヨーグルトアイスクリームがあげられます。

 第1は、ダイエット効果やガン予防効果などがあるとされる共役リノール酸や中鎖脂肪酸が含まれているところに着目し、山羊バターサプリメントを開発。これは山羊乳を原料として、脂肪を遠心分離し、山羊バターの製造に成功。ゼラチンカプセルに充填するスタイルとしました。第2は、高CLA(共役リノール酸)原料乳生産技術の開発です。これは、ジーマミドーフ(ピーナッツ豆腐)を生産する際に出る粕を飼料として利用することによって、共役リノール酸が従来通常飼料と比べて2倍以上になりました。この飼養技術の開発によって、副産物利用と高付加価値を両立させることに成功しました。第3は、低乳糖山羊の開発です。これは、酵素技術を応用し乳糖含有量が低い山羊乳の製造技術の開発を行い、ペットフード用原料としての利用をめざそうというものです。いずれも、沖縄県産業振興公社の支援を受け、琉球大学と産学連携でプロジェクトを進めています。

 そうですね、私は建設業一筋で参りましたので、右も左もわからないままにスタートしましたので、工場施設、製造業の免許取得、衛生管理など、すべて一からという状態でしたが、関係する役所に通いつめ、手取り足取りご指導いただきました。スタート時、食の問題が取り沙汰されていた頃で、食を生業とすることの責任を重く感じたことを覚えています。  一番苦労したのは、初期のチーズ製造ですね。全くの素人ですので、まずはチーズ関連の参考書を開くところから始まりました。試行錯誤している時のこと、県内在住のチーズ専門家の方に出会ったのです。チーズ教室に通い、色々とアドバイスを受けながらのチーズ作りが進んでいきました。チーズ関連の参考書と言っても、山羊専門ではなく、牛のチーズの製法が中心ですので、本当に手探りの状況でした。日々試作ノートをつけ、その日その日の気温、湿度などで、どのようにチーズの状態が変化するかを逐一記録していきました。チーズは生き物だなと実感する毎日でした。今でも、同条件で作っても全く同じチーズができることはありません。しかし、これがチーズの魅力なのかもしれません。

 お子さんが牛乳アレルギーだというお母さんが、山羊乳を購入され、お子さまに続けて飲ませたところ、結果がよかったので、その後続けているというお話を伺った時はうれしかったですね。また、観光客の方が、わざわざチーズを求めて、牧場までいらしたこともうれしかったですね。

 建設業一筋だった私がここまで来られたのは、出会った皆様のご指導ご鞭撻があったからこそと、心から感謝しています。現在は、琉球大学農学部・山羊ミルク研究チームの平田哲兵チームリーダーを研究開発アドバイザーに迎え、次のステップをめざしているところです。  小さな取り組みから始まった事業ですが、今後、沖縄の畜産業ひいては観光関連業の一助になればと考えています。

 
  
 
  








  

◎取材を終えて…
 牧場に入るやいなや人懐っこい山羊たちの可愛さに心を奪われました。足下にある宝に違う角度から光を当てることによって、さらに新しい輝きが生まれることを教えられたひとときでした。

 
●パーソナルデータ●
  

出身地/宮古島市 
趣味/山羊

  
  
●オーガニゼーションデータ●
  1999/山羊飼育事業化スタート
2004/沖縄県商工連合会特産品フェアやぎみるく・のむヨーグルト優秀賞受賞 2006/沖縄の産業まつり チーズ県知事奨励賞受賞
   
back

Copyright 2000-2006 Passion. All rights reserved.