ぱっしょんリーダーに聞け! 


  



  


 幼い頃から料理を作ることが好きで、よくお手伝いをする子供だったと思います。小学生の時は、姉にホットケーキを作ってあげたりしていました。高校生からは、ハンバーガーショップ、牡蠣の専門店など、飲食店でずっとアルバイトをしていました。その後、短大の英語科に進学。卒業後は、イタリアン、フレンチ、スペイン料理、和食の店で働きました。いつかは自分で店を持とうと考えていたので、さまざまな料理を学びたかったんですね。そのために貯金をし、そろそろ広島でお店を持とうと準備を始めたら、本土は敷金、礼金が、かなり高いんですね。どうしようかなと考えていた頃、沖縄に旅行に来る機会があり、何となくですが、しばらく住んでみようと思ったのが、今から約5年前のことです。それからレストランで働くなどするうちに、流れでお店をオープンすることになりました。料理人ならどなたでもそうだと思いますが、自分の思う通りのお店を開くことが最終目標だと思うんですね。それこそ、自分で選んだ好きなお皿に自分のプランした料理を表現する、これが醍醐味だと思います。



 市場はもちろんスーパーマーケットにも、本土では考えられない彩り豊かな野菜、果物、魚介類が並んでいますよね。これは魅力的です。以前、勤務していたイタリアンレストランで学んだり、市場で聞いたりして調理法を覚えていきました。野菜は甘みが強いことが特徴ですね。今の時季ですと、島人参がおいしいですね。ブイヨンで軽く煮てアンチョビとにんにくソースで仕上げたり、ちんぬくをすりおろして焼いたりします。ハンダマに出会った時は衝撃でしたね。あの色彩は野菜で見たことがありませんでした。また、フーチバーは、本土では買うものではなく、摘んでくるものですし、用途といえばお餅に使うくらいのもの。よもぎという名前の違いだけでなく、そのポジションまで、まるで違うんですね。私は、パセリの代わりに刻んでブルゴーニュバターに入れたり、豚肉のトマトソースパスタに入れたりしています。イーチョーバーが大量に並んでいる光景にも驚きました。本土だと、イタリアンに使う洒落たハーブという位置付けなのですが、沖縄の市場では、家庭の主婦とおぼしき方が、大根やじゃがいもなどといった他の野菜といっしょに買われていくのをみて、沖縄の食の深さと広さを感じました。それが、全部安い価格なのも驚きましたね。イタリアンは、素材を活かす料理法なので、素材の味が濃くて甘みが強い沖縄の素材と相性がいいと思います。ご縁があって今いる沖縄で、私がこれまで学んだ料理と、沖縄の素材がうまく融け合っていけばいいですね。



 やはり食材と真剣に向き合うことでしょうか。お客様を大切にするというご意見もありますが、結果はもちろんそうあってほしいと、どの料理人も願っているはずです。その基点となるのは、食材だと思います。私は、スーパーや市場にいくと、よく、野菜とにらめっこしています。「キミ、どうする?何になりたい?」って話しかけながら選んでいます。食材に対する愛情が何より大切ですね。そうして、仕入れた素材を今度はお客様に提供するわけですが、週1、2回でいらしてくださる常連さんは、なんとなくお顔を拝見すると体調がわかるので、ちょっと疲れていそうだなという時は、野菜を多めにしたりするなどしています。また、初めてご来店くださるお客様について、おまかせいただいた時は、ファッションを拝見してお料理をお出ししています。例えば可愛い系だと、豚舌は召し上がらないなとか、きっとカルボナーラが好きだなとか、ワインは甘めといった具合です。ありがたいことに、喜んでいただいています。従業員は1人いますが、お店がとても忙しくなると、お客様がお皿やグラスなどをひくなどさりげなくお手伝いをしてくださいます。皆さん、本当に優しくて、いつも感謝しています。今、この場所に生きている私に関わっているものすべてが、大切かもしれません。

 ないですね(笑)。沖縄でも、本土でも、苦労と思えば苦労ですし、また、沖縄って女性で1人で頑張っていくというのは、元々こちらの伝統ですし、むしろ、環境としてはいいんじゃないでしょうか。本土とか沖縄とかという意識よりも、おいしい料理を真剣に、日々、一生懸命作っていくことが、私のなすべきことだと思っています。

 お店のコンセプトは「ダサいイタリアン」。イメージは、ワイングラスを持つ指が足の部分で揃っているのではなく、ガシッと持つ感じ。ナイフとフォークで気取るのではなく、それこそ手づかみでカッコよく位の勢いで、ワイワイ楽しくおしゃべりしながら料理を楽しむというものです。3年を経てその目的はほぼ達しているかなと思います。とりあえずは、今のままを大切にしていくことでしょうか。もっと、知らない沖縄の食材もたくさんあると思いますので、今後、学んでいきたいと思っています。

 

 
  
 
  








  

◎取材を終えて…
  シャキシャキッと歯切れよくテンポよく話す松田さん。沖縄、本土、男性、女性…、そんなカテゴライズを意識した質問への答えは「おいしいものをつくる、そしてお客様に喜んでもらう」というシンプルな言葉でした。さまざまな意味での共生のあり方について考えさせられるひとときでした。

 
●パーソナルデータ●
  

出身地/広島県

  
  
●オーガニゼーションデータ●
  2003/移住
2004/イタリアンレストランオープン
   
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